もろみを搾る過程で最初にほとばしる「あらばしり」という部分をそのまま詰めました。すっきりとした軽やかな吟醸香と、口に含むと米の旨味がやわらかくふくらみ、その後ふわりと切れる後味が特長です。食中酒に最適の吟醸酒に仕上げています。
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寒造りの第一作、加賀鳶の季節限定酒「純米吟醸 あらばしり」が蔵出し。
金沢が例年にない大雪に見舞われた2018年の大寒の頃。降り積もる雪の中で、醸造蔵・壽蔵では今季酒造りの最盛期を迎えていました。節分までの約20日間、この時期に行われる酒造りを「寒造り」とよび、おもに吟醸や大吟醸などの高級酒、また細心の技術が求められる酒造りが日夜行われ、蔵内に緊迫した空気が漲ります。この寒造りのスタートを切るのが、加賀鳶の季節限定酒「あらばしり」。毎年その年の吟醸系の酒造りを占う大切な第一作になります。あらばしりとは、醪を搾る段階で重力に従って最初にほとばしる部分のこと。若干の醪を含むためにやや白濁し、「荒走り」の文字が当てられるように、鮮烈で若々しいキレ味とフレッシュな香気、アルコール度数が比較的低いのも特長です。澱がらみとしてそのままのお酒を瓶詰めする蔵元もありますが、福光屋のあらばしりは、澱や炭酸ガスを含まないタイプです。
「加賀鳶 あらばしりは、私たち造り手を非常に緊張させるお酒です。あらばしりだからといってただ荒々しくあればよいのではない、大人しくても、整い過ぎてもいけない。あらばしりらしい不安定の中の調和を狙うお酒です。さらに、その年の米の出来が、味わいにどう表れるのか。今年の吟醸系の酒造りを占う試金石でもあります」と、板谷和彦杜氏。あらばしりには、金紋錦と山田錦の二つの酒米が使われていますが、今年の金紋錦はよく溶けたことで、味のふくらみ(旨味)に。山田錦は程よく溶けて綺麗さ(味の締まり)となり、「今年の酒は全体的に綺麗ですが旨味もあるのが特長で、このあらばしりには、それぞれのお米のよいところがしっかり表れています」。酒の旬、一期一会を堪能できるのが、加賀鳶の季節限定酒です。