【令和3年の酒造りと推薦酒・代司編】製麹の日々の仕事をしっかりと。仕事から、仲間から学びたい | こめから.jp | お米のチカラで豊かに、上質に。

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2021.12.21.

【令和3年の酒造りと推薦酒・代司編】製麹の日々の仕事をしっかりと。仕事から、仲間から学びたい

大切に栽培され、精米、洗米、蒸米を経て、酒米が初めて微生物と出会う工程、それが製麹(せいきく)です。製麹とは、蒸米に種麹を振りかけて麹菌を繁殖させて米麹を造る作業をいい、仕込みの出発点となる酒造りの要。麹担当者には、真冬でも30度を超える麹室の中で2昼夜にわたる細かな温度・湿度、育成管理などの重労働に耐え得る体力や気力、酒米や酒質によって0.01g、0.1度をコントロールする集中力や繊細さが求められます。この製麹の責任者を麹屋といいますが、現在の壽蔵では、「代司」(代師の文字を使用する酒蔵もある)が兼務しています。麹屋であり代司である外川伸介に話しを聞きました。

【プロフィール】外川伸介

酒造歴24年。専門学校でバイオテクノロジーや醸造学を学ぶ。濾過や火入れを担当する清酒係、蒸米係、酛場を経て製麹の責任者に。10年前から始めた早朝の自転車通勤時では、その日の気温や湿度、風向きなどの肌で感じる天候の変化を製麹に生かしている。若手に惜しみなく仕事を見せ、教え、後輩からも積極的によい仕事を学ぶことを心がけている。酒造技能士1級。

【代司とは】
杜氏の代わりを担い、杜氏不在時に酒造りの指揮を担う蔵人。杜氏の指示を深く理解し、頭、酛屋と連携しながら酒蔵の運営にも携わる。代司が麹屋を兼務する酒蔵も多く、福光屋もその一つ。福光屋では、製麹という重要工程を担いながら、代司として酒造り全体を見通す視点が求められるほか、酛や醪担当に米麹を提供するという点では各部門の蔵人たちと細かな連携が必要になる。

【令和3酒造年度に向けて】
高価格帯の高級酒からコストパフォーマンスに優れた定番酒まで、多種多様の日本酒を造ることができるのが壽蔵の醍醐味。さまざまな造りを経験できることは職人として幸せなことだと思っています。日々工夫をしながら、よりよい麹造りを見出すのがとても楽しく、若手からも刺激を受けています。今期は製麹担当として、今までにない高精白の仕込みがあり、プレッシャーを感じるとともに未知な仕事が楽しみでもあります。蒸米担当の釜屋が最善を尽くして私に渡してくれた仕事を大切に受け取り、さらによりよい仕事をして次に渡すための努力をしていきたいと思います。

【「代司」として薦める日本酒】

福正宗 金色のしずく

福光屋の日本酒の中で最もリーズナブルなレギュラー酒。コストパフォーマンスのよさと味わいのよさを両立させるには、高級酒以上に造りの創意工夫が必要だといえます。国産一般米を使用し、お米をあまり磨かない低精白の純米酒として、原料コストをコントロールしながら、たっぷりとした旨味、飲みごたえのある安定した味わいになるよう、麹造りにこだわり、細心の注意を払って酒造りを行っています。福光屋ではレギュラー酒にこそ蔵人の技が集約されていると言ってもいいほど、自信をもっておすすめしたい純米酒です。

加賀鳶 純米大吟醸 吉祥

契約栽培した山田錦を精米歩合40%にまで磨き上げた純米大吟醸です。加賀鳶の中で一番お米を削った最高級酒ですが、蓋麹法ではなく、時間的な制約があるなかで多くの製麹を行う床麹(とここうじ)法を採用。麹担当として非常に大きな課題がいくつもあり、吉祥ならではの造りを自分なりによく吟味して麹造りに取り組んでいます。すっきりとした吟醸香と軽さ、旨味が絶妙に調和した特有の風味を引き出すことに成功していると思います。