近頃よく耳にする「麹」。健康にも美容にも優れた効果を発揮するとあって、注目を集める食材でもあります。麹の元になる麹菌は、外国には存在しない日本独自のニホンコウジカビ。2006年に“国菌”にも認定されています。麹とは、このニホンコウジカビを種麹として穀物に付着繁殖させたもので、米に付着させると米麹になって清酒、味噌、味醂、酢、甘酒の元に、豆麹は東海地方の八丁味噌などに、麦麹は九州・四国地方でなじみが深い麦味噌や麦焼酎の元になります。日本人は長い歴史の中で麹を巧みに操り、食品を醗酵させて栄養分や風味を増進させ、日々の食生活に欠かせない美味を造ってきました。麹菌による酵素は穀物のでんぷんやたんぱく質をアミノ酸やブドウ糖に変え、それらの栄養素がもたらす全身の健康維持促進効果は多くの方ご存じの通りです。麹はまさに日本の伝統食品、日本人の健康の源なのです。

さて、そんな米麹を使っておなじみの塩麹をはじめ、自家製の醗酵調味料を簡単に造ることができるのをご存じでしょうか？ 「酒蔵の麹 乾燥こうじ」とお好みの濃口醤油を混ぜ合わせ、常温で10日前後おいて1日1回空気を含ませるようにかき混ぜるだけで醤油麹に。「酒蔵の麹 乾燥こうじ」と塩を炊飯器などの保温機能を使って醗酵させると塩麹ができます。米麹がとろりと溶けて、食欲をそそる艶が出てきたら完成。醤油麹も塩麹もさまざまな料理に応用できる万能調味料。美味しさだけでなく、調理の時短にもなる優れものです。米麹の扱いに慣れてきたら、乾燥麹とお湯を合わせて醗酵させた漬け床で塩漬け大根やかぶを漬ける麹漬けもおすすめ。本味醂や砂糖を加えれば、懐かしいべったら漬けをつくることも出来ます。
自家製の醗酵調味料や漬物をつくることは、生き物と暮らす健やかさ、安心感に似ています。さらに身体によいものを自分でつくるひと時は、何にも代えがたい満足感があります。自分の暮らしの足元を見つめるよい時間。これこそ醗酵生活の醍醐味かもしれません。