ラメラ構造が整った肌は、油分と水分をバランスよく保つ力に優れます。ラメラ構造が乱れると水分蒸発による乾燥、シワ、たるみなどの原因に。
酒蔵の醗酵美
HEALTH & BEAUTY
美肌をつくる酒粕セラミドのチカラ
肌の保湿、うるおいに欠かすことのできない「セラミド」。人の肌にあるセラミドとまったく同じ組成で成り立つ、酒粕セラミドが発見されたことで今、新たな研究が進みます。皮膚細胞試験を実施した西本壮吾先生にお聞きしました。
肌に欠かせないセラミドとは?
セラミドは、肌の最も外側にある角層内で、角層細胞の間を埋めるように存在する細胞間脂質の主成分です。スフィンゴ脂質とも呼ばれ、水分と油分の層が交互に組成される“ラメラ構造”内で、肌のうるおいを保つだけでなく、外的刺激から肌を守るバリア機能をもちます。また加齢によってセラミドは減少します。
植物由来(酒粕/酒米由来)なのにヒト型セラミドと同じ働きをする
人の肌で働くセラミドをヒト型セラミドと呼びます。化学合成することは可能ですが、構造異性体などを同時に生成する特性をもつため、100%の効果を届けることはまず不可能です。一方、動物や植物から取り出されたセラミドは天然ではありますが、植物内で機能するセラミドの型であり、人の皮膚で目指す機能を発揮することもありません。酒粕セラミドは植物由来でありながら、ヒト型セラミドと同じ構造を持ち、人の皮膚で働くことができる点で非常に特異なものといえます。
“発酵”が関与して酒粕(米)から天然ヒト型セラミドが生成
酒粕セラミドが植物由来でありながら、人の肌で働くことができる理由の一つは発酵による微生物の関与が大きいと考えます。福光屋のヒト型セラミドは結合する総炭素数が長く、保湿効果の高い長鎖タイプであることが構造的な特長ですが、これは発酵に関与する微生物が長鎖化させると考えられます。植物(酒米)からはヒト型セラミドがとれないにもかかわらず、ヒトの皮膚と同じ型に変化し、機能するのは発酵生成物の作用と考えられます。
塗布した酒粕セラミドが皮膚内でセラミドを合成する
今回行った人の皮膚細胞をつかった実験では、酒粕セラミドを添加した皮膚細胞内で新たにセラミドを合成する酵素の遺伝子発現が認められました。酒粕セラミドが皮膚細胞内に働きかけて細胞内のセラミド合成を活性化することを示します。これは、塗布した酒粕セラミドが表皮に浸透して保水力やバリア機能の維持向上に関与するだけでなく、自らの力でセラミドを増やし、働きを促進することを意味します。内外のWの働きでセラミドの効果を得られるといえます。
ヒアルロン酸合成酵素を生み出す可能性
酒粕セラミドを用いた今回の細胞試験では、表皮にあるヒアルロン酸合成酵素として注目を集めるHAS-3の発現上昇も認められました。これは表皮ヒアルロン酸の産生量促進効果が期待できることの示唆でもあります。表皮ヒアルロン酸は、表皮内で栄養の運搬や老廃物の排出(新陳代謝)や抗酸化力をもち、肌の保湿だけでなくキメの細やかさ、若々しさにも関与します。加齢による表皮ヒアルロン酸の減少をケアすることにもつながります。
酒粕セラミドを配合した「FRENAVA」アイテムはこちら
成分名:酒粕エキス
石川県立大学准教授。食品科学、食品衛生学をベースに免疫・アレルギー研究まで幅広い活動分野をもつ。理化学研究所や大学等で研究を進めており、福光屋の酒粕成分の研究と皮膚細胞試験は2021年から実施。