令和元酒造年度 金沢国税局酒類鑑評会にて優等賞を受賞した、特別限定醸造の純米大吟醸原酒です。口に含んだ瞬間に味と香りの広がりを感じる逸品です。魚や肉料理の深みのあるメインディッシュ、ソフトやハードを問わず熟成したチーズとの相性は抜群です。12〜15℃に冷やしてお飲みください。ワイングラスでお飲みいただくと、さらに力強く華やかな香りの広がりを存分にお楽しみいただけます。
酒蔵だより
SAKAGURA
令和最初の酒造りの有終の美を飾る、「金沢国税局酒類鑑評会」優等賞受賞。
令和2年3月に開催された、令和元酒造年度(2019年7月〜2020年6月)金沢国税局酒類鑑評会「吟醸の部」において、北陸三県の45の蔵元から吟醸酒132点が出品され、福光屋が栄えある優等賞を受賞しました。福光屋の醸造蔵・壽蔵を率いる杜氏・板谷和彦にとっては7度目の受賞。令和初年の酒造りを晴れやかに締めくくることができました。
「今期の酒造りを始めるにあたって、古事記から引用した“稽古照今”という言葉を指針にしました。“先人の教えを今の仕事に照らして熟慮する”という思いで、すべてのお酒を醸しました」という杜氏の板谷。受賞の喜びを真摯に受け止めながら、鑑評会のための純米大吟醸も定番酒も、同じように稽古照今の考えで仕込んだといいます。先々代の杜氏・大浦満氏から特別に譲り受けた記録ノートを手繰り、福光屋の蔵人になって経験した30年の酒造りからヒントを探る一方、最新の予測情報から綿密な計画を立て、さらに「旨くて軽い」純米造りの発展を目指しました。
今期、蔵人を最も悩ませたのは最高級の純米大吟醸の原料となる酒米の山田錦が、過去10年で最も硬く、醪(もろみ)にした際に非常に溶けにくいということでした。昨夏の酷暑により、穂が出てからの積算温度が高過ぎたことが影響。お米が溶けにくいということは、味が薄くなり、お酒に旨味がのらなくなります。クリアーですっきりとした味わいを特長とする大吟醸酒とはいえ、純米造りならではの軽やかな旨味のふくらみや個性は必要です。「微生物の働きを最優先にした酒造りを行う私たちは、溶けないお米だからといって人間の力で無理やり溶かすことはしません。麹菌の自然な働きでお米が柔らかくなるように、今期の山田錦の特性とお酒に合わせて一から製麹(せいきく)を変えました。先々代の製麹に私自身が思い描く理想の麹のイメージを重ね、いつも以上に若く力強い麹を仕込むことでお米の硬さに対応しました」。原料米の弱点を、微生物の力、福光屋が代々受け継いだ技、令和元年の酒造りを率いた杜氏と14名の蔵人の的確な分析と仕事が三位一体となり、鑑評会で高い評価をいただけたことは大きな成果であるとも語ります。
この鑑評会受賞酒「優等賞 純米大吟醸 福正宗」は、品格のある豊かな吟醸香とすっきりとなめらかな口当たり、心地よい余韻が特長。きれいな味わいの中に、純米酒としての骨格を感じさせます。杜氏直筆のシリアルナンバーを添え、限定590本が令和2年4月24日に蔵出しされました。