緑豊かな工房の前庭は、個性的な亀や猫、魚の作品が置かれ「田辺ワールド」を予感させるアプローチ。緻密な上絵付けは、九谷の古典文様からバナナの房に貼られたシールまで忠実に再現。はてはキューピーの陶製フィギュアやホクロ占いの面相まで無限に広がります。
イベント・企画展(直営店)
EVENTS -SHOPS
2017.8.22.
田辺京子さんのアバンギャルドな九谷焼
九谷の異端、前衛、パンク、型破り……。どれも言い得ていながら、それでもまだ表し足りないほど独自の世界を拓く九谷焼作家・田辺京子さん。工房のあちこちには、昔懐かしいマトリョーシカなどのフィギュアやバナナの房を模した銘々皿、果物の立体モチーフが器の縁をずらりと囲んだデコ盛りシリーズの数々が仕上げを待っています。九谷でありながら、強烈な作風で「誰も未だ見ぬ世界」に挑むかのようです。その刺激に圧倒されつつもじっくりと向き合うと、作品の奥に田辺さんの真面目さ、ひたむきさを感じるのです。
「自分の作品は、九谷のインディーズだと思っています。ですが、基本はすべて古九谷と明・清の中国陶磁の古典に学びました」と、田辺さん。挑戦的な表現であっても、九谷焼本来の花坂陶石を用い、上絵具の五彩は田辺さん自身で調合するなど、九谷としてのバックボーンを大切にしています。この秋、福光屋として2年ぶり、3回目の個展が東京ミッドタウン店で開かれます。長年、福光屋のアドキャラクターでもあった、おなじみのフクちゃんシリーズの酒器をはじめ、新作が賑やかに並びます。
PROFILE
田辺京子(たなべきょうこ)
石川県生まれ。1998年石川県立九谷焼き技術研修所卒業。2001年金沢卯辰山工芸工房修了。現在、金沢市近郊で工房を構える。
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