糖化と発酵のバランス
仕込みという工程で、麹と酵母がはじめてひとつになります。仕込みは酵母が優勢になるよう、3回に分けて行われ、醪が出来上がります。この醪の中で「糖化」と「発酵」が同時に行われます。これを並行複発酵といい、これは清酒だけにみられる製造過程です。
糖化は、麹が蒸米をブドウ糖に変えるプロセス。酵母がそのブドウ糖からアルコールをつくり出すプロセスが発酵です。醪は約20日間、適温に保たれ、絶妙なバランスで糖化と発酵が進みます。この絶妙なバランスこそ、理想的な味わいを生み出す秘訣なのです。
寒さが酒を鍛える
仕込みは冬がいいといわれます。寒気の中では雑菌が繁殖しにくいこと、糖化と発酵のバランスがとりやすいことなどがその理由です。また、しんしんと降り積もる雪は空気を清澄にし、温度をやわらかく低く保ってくれます。寒造りのための絶好の環境づくりを果たしてくれるのです。福光屋の蔵では、寒の時期を最盛期とし、9月から4月まで酒造りを行っています。