純米酒ができるまで
上質の酒米と百年水。これら自然の恵みを麹や酵母の力で最大限に引き出すこと。福光屋の酒造りは、あくまで自然が主役です。自然と真正面から向き合い、その摂理に素直に従うことが、美味しい純米酒への道でもあります。理想とする「旨くて、軽い」味わいは、あらゆる工程に独自の工夫を重ね、自然との対話から生まれています。
1. 精米・洗米・浸漬・蒸米
玄米の外側にはタンパク質、脂質等を含む層があります。これらの成分が多すぎると、日本酒の味わいや香りに影響を与えるため、削り取る「精米」をします。精米した米を洗米し、浸漬させて水を吸わせます。その後、蒸しますが、蒸米の良し悪しは清酒の品質を大きく左右するといわれ、非常に大切な工程です。「外硬内軟」でふっくら、さらっとした蒸米が理想です。
2. 麹をつくる
麹菌の働きで主に米のデンプン質を糖分に変える麹造りは、酒造りで最も大切な工程のひとつです。蒸米の表面に麹菌の種胞子をふりかけ、温度管理を行いながら約2日間かけて行います。
3. 酒母を育てる
酒母は酛(もと)ともいい、糖分をアルコールに変える微生物「酵母」を大量に育てます。酵母はその種類によって、よい香りを出すもの、味の濃くなるもの、酸を多くつくるものがあり、造る酒に応じて使い分けます。
4. 醪を仕込む
酒母に麹、蒸米、水を加え仕込みを開始。醪の中では、糖化と醗酵が絶妙のバランスを保ちながら進みます。
三段仕込み
仕込みは雑菌増殖を防ぐため、酵母が優勢になるように3回にわけて仕込みます。そして、細かく管理された温度の下、約20日間かけてゆっくりと醗酵させます。
並行複醗酵
蒸米のデンプンを麹で糖分に分解し、この糖分を酵母によってアルコールに醗酵させます。このようにタンクの中で糖化と醗酵が同時に行なわれます。
5. 上槽・火入れ・熟成
熟成した醪は圧搾され、固体部分は酒粕となり、液体の部分は清酒になります。それから65℃前後の熱で瞬間加熱殺菌を行い、同時に酵素の働きを止めます。その後、無菌的に貯蔵すると、味と香りがまろやかになり熟成します。最終段階では、原酒をブレンドし、色・味・香りの調整のため濾過を行った後、加水をしてアルコール度数を下げます。そして、再度65℃前後の熱で瞬間加熱殺菌を行い、瓶詰めをします。こうして、製品が完成します。