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醸造業界・酒造業界における一年の区切りは、
毎年7月1日から翌年6月30日で、この1年間を醸造年度、または酒造年度といいます。
元号に基づき、平成20年7月1日から平成21年6月30日は「BY20」または「20BY」と記されます。
※BY:Brewery Yearの略
7月
8月
9月
秋あがり
月見酒
10月
11月
12月
1月
新酒仕込み
屠蘇 年酒 鏡開き
無濾過・生原酒
2月
3月
新酒仕込み
春吟醸
桃花酒 曲水の宴
しぼりたて・生
4月
花見酒
5月
菖蒲酒
6月

初呑み切り(はつのみきり)

火入れ貯蔵した新酒の熟成具合を見るために、初めて貯蔵タンクの「 呑み」(貯蔵タンク下部についている酒を出すための部分)を切り、酒の出来具合を官能評価することです。福光屋では毎年梅雨に入る頃に、初呑み切りがあります。杜氏にとっては丹精こめて醸した酒たちがしっかり成長しているかどうかが確認される緊張の行事です。

土用洗い

酒蔵の夏の風物詩、「土用洗い」は、蔵中の木製品を集めて、冬の酒造り中についた汚れをきれいに洗い、殺菌のために柿渋を塗って天日に干すことです。柿渋には抗菌・防カビ効果がある上、何年も塗布を繰り返すと、何とも味わいのある色になります。蔵中の木製品がずらりと並ぶ様は圧巻です。

呑み切り(のみきり)

貯蔵タンクの「 呑み」(貯蔵タンク下部についている酒を出すための部分)を切り、酒を少量取り出し、酒の熟成具合を官能評価することです。一般の唎酒とは違い、主に目と鼻だけをつかって評価していきます。官能機能を集中させることによって、熟成の状態、原料米の成果、酵母の働きなどについて極めて繊細で微妙なデータを得ることができるのです。これらのデータから得る指針は貴重で、呑み切りは次の酒造りの方針を決定するためにも大切な行事の一つです。

甑立て(こしきだて)

甑(こしき)とは、米を蒸す道具(桶)のことです。日本酒造りには、炊いた米ではなく、蒸した米を使います。酛(酒母)用の米を最初に蒸すことを「甑立て」といいます。

酛立て(もとだて)

最初の酛(酒母)を仕込むことを「酛立て」といいます。「酛」とは、文字通り「酒の元」となるもので、優良な酵母菌を増やすためのものです。

初揚げ(はつあげ)

熟成した醪(もろみ)を圧搾、ろ過して清酒と酒粕に分けることを上槽(じょうそう)または槽揚げ(ふなあげ)といい、その年の最初の上槽を初揚げ(はつあげ)といいます。醪をしぼる伝統的な道具は、船の平底に似ているところから槽(ふね)と呼ばれ、この工程の担当者を船頭(ふながしら)と呼んでいました。

甑倒し(こしきだおし)

最後の醪(もろみ)の仕込みに使う米を蒸し終えることを「甑倒し」といいます。甑(米を蒸す桶)を横に倒して洗うことからこのように呼ばれるようになりました。現在では連続蒸米機を使っているため甑を倒すことはありませんが、同様の行事は毎年行われています。甑倒しの当日は神に新酒を捧げて蒸米の無事終了を感謝し、お祝いの小宴が催されます。

皆造(かいぞう)

その年度のもろみを全てしぼり終え、出来たお酒と酒粕の数量を計測したときを皆造(かいぞう)といいます。皆造の当日は「皆造祝」といって、蔵人たちにお祝いの席を設けます。

冷やおろし(ひやおろし)

冬季に造られた酒を、火入れと呼ぶ加熱処理をした後、約半年間貯蔵・熟成させ、涼しい蔵で夏の暑い日差しを避け、外気と酒の温度が等しくなるまで待たせた後、秋口に火入れをせずに生詰めして出荷される酒のことです。気温が低くなってから樽からおろした酒という意味からこのようにいわれるようになったようです。しぼりたての新酒のフレッシュで荒々しい味わいが、調和のとれた落ち着いた味わいになります。秋までの間の熟成によって酒の味わいがよくなることを「秋上がり」または「秋晴れ」ともいいます。

氷室献上(ひむろけんじょう)

江戸時代、旧暦6月1日(新暦7月1日)に、将軍へ氷室の氷を献上したという故事にならい、福光屋では、厳冬の酒蔵で仕込んだ純米大吟醸の搾りたてをそのまま氷温で貯蔵し、氷室の時期に蔵出ししています。華やかな吟醸香と、フレッシュな中にも落ち着いた飲み口が特徴です。

氷室の日(ひむろのひ)

江戸時代、旧暦6月1日(新暦7月1日)に、加賀藩から将軍家へ氷室の氷を献上する慣わしがありました。昭和30年代に途絶えましたが、昭和61年(1986年)に復活してからは、1月の最終日曜日に金沢の奥座敷、湯涌町の氷室小屋に雪が詰められ(氷室の仕込み)、6月30日に雪を取り出す氷室開きが行われています。金沢市とその周辺では、7月1日を氷室の日とし、氷室饅頭を食べ健康を祈ります。その起源は加賀藩5代藩主前田綱紀公の時代とされ、氷室から運び出された氷雪が無事江戸に届くよう、饅頭を神社に供えて祈願したことに端を発するといわれています。杏や枇杷を食べる風習も古くは一般的でした。

荒走・新走(あらばしり)

酒の搾りは三段階で区別されます。酒袋に熟成した醪(もろみ)を詰め、それを槽(船の平底に似ている、醪をしぼる伝統的な道具)の中にいくつもならべて積み重ね、自重で自然にしぼられて出てくる最初のお酒が荒走り(新走り)といいます。やや濁りがあり、ほのかに残る炭酸ガスとほどよい酸味が特徴で、新酒独特の新鮮な香りが漂います。

中汲み(なかぐみ)

三段階で区別される酒の搾りの、中心部分を中汲みといいます。なめらかで、もっとも舌ざわりのいい旨味のある部分です。

中汲み囲い(なかぐみがこい)

中汲み囲いとは文字通り、中汲みだけを一定温度で一定期間囲う(貯蔵する)ことをいいます。福光屋が主に大吟醸などで行っている手法です。

責め(せめ)

三段階で区別される酒の搾りの、終盤、圧力をかけて搾りきることを責めといい、それにより出てくる酒も責めといいます。

貴醸酒(きじょうしゅ)

貴醸酒は、仕込みの過程で水の代わりに清酒を使い、いわば「清酒で仕込んだ清酒」を長期熟成させたものです。平安貴族も楽しんだと言われる、奥行きの深い甘く濃厚な味わいは、食前酒や食後酒として冷やして、またはオンザロックで楽しむのがおすすめです。長期保存しても酒質が保たれることも特徴の一つで、熟成が進むにつれ重厚な琥珀色になっていき、いっそうまろやかな舌触りが加わります。貴醸酒のルーツとされるのは、平安時代中期に編纂された格式「延喜式」(えんぎしき)に記された「御酒」(ごしゅ)と呼ばれる酒です。御酒は発酵が終了した醪を濾してできた酒に、蒸米と米麹を入れて再び発酵させてから濾す作業を繰り返し行う「しおり」という製法でつくられ、これをもとに国税庁醸造試験所(現・醸造研究所)が貴醸酒を開発しました。

日本酒の日

酒に関する漢字は様々なものがあり、酌、酔、酩、醸など、つくりの「酉(とり)」が共通しています。「酉」は酒壷を表す象形文字で、もとは「酉」だけで酒を意味していましたが、後に液体を表すさんずいがついて今の「酒」という字になったといいます。 この酉は、十二支の中の10番目の酉としても使われています。酉の月は10月の新穀の実る月です。その穫り入れた新穀を使い、酒造りを一斉に始めた月なので「酒の月」とされました。1965年(昭和40年)以前の酒造年度は毎年10月1日から翌年9月30日までと定められ、蔵元では10月1日を酒造元旦として祝っていたことから「日本酒の日」といわれるようになりました。